2010年3月22日月曜日

親が偉い人であるということ


リヒャルト・ワグナーとはあのワグナーである。
その孫でいらっしゃるヴォルフガング・ワグナーさんが21日に亡くなられた。
90歳。
ワグナーの楽劇を演じるバイロイト音楽祭を復興させたという音楽史に残る偉業を成し遂げたひとで、この人がいなければ夜中にラジオでワグナーの全曲を延々と聞いたりすることもありえなかった。
いまでもNHKFMで放送しているんだろうか?
楽劇全体は、歌にメロディーがなくて退屈だし、地獄の黙示録のテーマ(ワルキューレ)はキャチー過ぎて馬鹿にされそう、であまりワグナーは好きではなかった。
というか、ワグナーを好きといっても威張りが効かない、そう思っていました。
今は普通にいいなあ、と思えます。映画音楽みたいで。

ところで、ヴォルフガングさん、おじいさんがあのワグナーでなければたぶん全く違った人生を送ったわけで、後々まで人の人生を決めてしまう偉人というのもなかなか罪ではないかと。

野球界の長嶋一家とか、映画の黒澤とか。
残されたものは、概ね不幸だと思います。
虎は死して皮を残す。人は死んで名を残す。人は名に囚われ、名に殺される。あるいは生かされる。
人は死んでも無に還ることはできないのですね。
合掌。
写真は2004年のローエングリン東京公演から。



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