まじめなひとは、クラシックのコンサートで、拍手をするのはマナーみたいな雰囲気があるのはおかしいという。
しかし、ブラボーがないと、コンサートは終わらないと今日実感した。
開演前、会場の注意で、「早すぎる拍手は他のお客様のご迷惑となります」との案内があった。
これが牽制となったのか、また今日の演目はブルックナーの7番。・・・これで終わりですか?と聞きたくなる曲であることには間違いない。思えばこれが予兆である。
しかも、時計をみると演奏開始から1時間30分ほど。テンポが遅いとは感じなかったが、手元のチラシによると、普通は70分くらいだそうだからすこし長い。といっても、ゆったりしたブルックナーは珍しくない。チェリビダッケのような犯罪的な響きの遅延のようなものは感じなかった。
もともと構成がはっきりせず、ところどころいきなり盛り上がったりするブルックナー。フィナーレの際にも、まだまだ続くのでは?という期待感があってもなんらおかしくない。
意味は違うが「ブルックナーは終わりから始まる」と言われるくらいだ。
・・・というわけで、本当のフィナーレ、指揮者ティーレマンが決めのポーズをとる。すうっと音が消える。この消える音が面白い。わっーと鳴っていたオーケストラがすーっと音を消す、その最後の音を意識したのはこれが初めてだ。
そして、静寂が会場を支配する。
1、2、3秒経過。彼は微動だにしない。花笠音頭で両手を前に突き出すポーズのままだ。
5秒、6秒7、8秒。彼の心の声が聞こえる。「さあ!はやく!拍手!して!くれ!よ〜」
9、10秒、11秒。まばらな拍手のあと、割れんばかりの拍手とブラボーの歓声がこだました。
彼は満足そうに観客席に振り返り会釈をした。
私、今回は演奏中の指揮者の顔がよく見える席だったので、ほんとうに面白かったです。
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