2013年7月21日日曜日

ガルパンは21世紀版ガンダム

子供の頃感じたガンダムのリアリスムと同じものがガルパンにはある。ガンダムがロボットアニメに一見リアルな戦争という雰囲気をうまく導入したのと同じ仕方で、ガルパンは美少女学園ものに管理された戦争(設定としては戦車道というスポーツ)というモチーフを組合わせている。
ガンダムを越えて息の長いシリーズに成り得ると思うが、ガンダムのパロディを意識してケロロ軍曹のようになってしまうかも。
そうはいっても、見ているほうも「砲弾などそうそう命中するものではない」なんて台詞にころっといってしまうのですが。

チェーホフと恨(ハン)の思想

韓国の心情の根源にはハンがある。私の好きな予告編の映画『風の丘を越えて』で言われています。
今日『ワーニャおじさん』を見て、この映画を思い出しました。

ワーニャおじさんは崇拝していた男に幻滅し、彼に貢いで浪費した人生を後悔しています。その上経営している農園を売って株すればよっぽど稼げるなどとふざけた提案するので、逆上して彼を撃ち殺そうとするも果たせず。
これがきっかけで男と別れることになるのですが、一応仲直りして今まで通り仕送りはすると約束することに。誰もいなくなり姪と二人きりで仕事をしながら、おれの人生なんだった?本当につらいよとこぼすと、「死んだら一息つけますよ」としみじみ慰められます、というお話。
若い頃の熱狂から醒め、人生全て無駄にしたという感情に取り憑かれ、恨みがましい気持ちを最後に飲み込んで目の前の仕事を済ます。幻滅という感情の不都合なのは、変わったのは相手ではなく自分だということ。相手が憎いということ以上に自分が情けない、だけどもう奮起するには歳をとりすぎている。何もかも遅い。ちなみにワーニャおじさん47歳。もしも私を捨てるなら、17歳の私に還してよ、と言える相手がどこにもいないやるせなさ、これがハンかなと連想しました。

勤勉なのはいいけれど、どうせやるなら役に立つことをしたらどうです?と皮肉を言われて、舞台の下からこの男に殺意を覚えました。こういう心からの感情が沸き起こるのがチェーホフ劇の楽しいところです。池袋の東京芸術劇場にて。

2013年7月20日土曜日

欲しいかも アダムオーディオ S5XーV

あるところでマルチアンプのシステムで試聴させていただく機会があり、やはりフルレンジでは限界があるなあと物欲を刺激されました。
ふわっと広がる音場に、これはツイータが優秀だからと説明され、自分のハーベスにスーパーツイーターを追加しようかと物色しているうちに見つけたのが、アダムのハイルドライバーユニットをつかったスピーカーシステム。
これよりも高音をカバーしてるものはあるが、ここではツイーター、ミッドをカバーしている。4ウエイマルチアンプで1本60万円くらい。アンプ内蔵であることを考えるとリーズナブル。格安と言って良いだろう。
スペースファクターの良さも魅力だ。しかもなんとオプションでDAC内蔵できるらしい。しかしその価格は分からんかった。気になるが、DACは注文しちゃったしなあ。早まったか?
問題は重さ50Kg 高さ80cmのガタイのよさ。・・・担げない。

2013年7月15日月曜日

アンドレアスグルスキー展 に行ってきました

グルスキーも一種のジョイントフォトだと思うが、ホックニーとの違いはつなぎ目をきれいに処理して視線の運動の痕跡を消しているところだと思う。
ホックニーにおいては親密さを生み出す手法が、グルスキーではあり得ない体験のイリュージョンをを生み出している。
北朝鮮のマスゲームの写真では、デジタル職人ぶりが度を越していて、鑑賞しているひとのなかに、コピペの指摘をしているひとがいました。見るひとが見るといろいろ分かるようです。

わたしは普段あまり作品の解説は気にしないのですが、今回は何を撮ったのかすごく気になり、いちいちタイトルを確認したりしました。
一見、そのまま撮っているだけのようでも、実際はかなり作り込んでいるようなので、そのイメージの具象性と作品全体としての抽象性とのギャップに戸惑うのかもしれません。
それにしてもみなさん楽しそうに鑑賞していたのが印象的でした。作品に近づくなと注意されているのに、ついつい指をさしてここがどうこうと話込んでいるひとが大変多い。こんなに盛り上がる写真展は経験ありません。乃木坂、国立新美術館にて。

初台で ブレヒトの 三文オペラ 

乞食でも見られるようお代を3文にしたから三文オペラ、という前口上が本来らしい。
入場料9000円だったから、今回は9,000円オペラ。
新国立劇場より野外劇場やテント小屋、ショッピングモールの広場あたりが似合いそう。楽団の編成もちいさくて、大きな舞台で映えない。
最初の印象は変な曲! だったが、後で調べたらなんとクルトワイル作曲だった。
youtubeにあるのはわりと聞けるので、こちらはおすすめ。


ストーリーは女にモテる悪人が絞首台に架けられる寸前、女王の恩赦で貴族になりお城ももらってめでたしめでたし、というもの。昔の演劇のパターンにラストは太陽神アポロンが登場してめでたしめでたしというものがあったと思うが、そんな感じかも。
このラストには荒唐無稽と思われる方もいるようだが、私はこれ以外にはあり得ない素晴らしいエンディングだと思った。
解説によると、初演は1928年8月31日ベルリン。『華麗なるギャツビー』と同時代ですね。
ストーリーと乞食の元締めピーチャムの賛美歌は18世紀イギリスのジョンゲイ作、ペープッシュ音楽による『乞食オペラ』から、詩は15世紀フランスのヴィヨンから借用だそうだ。今回の上演の目玉はほとんど唄われることのないルーシーのアリアがあるところらしい。非常に珍しい完全版三文オペラだそうだ。
私としては、もう少し音楽にノレたらなあ、というのが率直な感想だ。

2013年7月13日土曜日

女性の自己決定権と生まれなかった子供の権利

最近便利な堕胎薬があって、もっと普及すれば母体保護に有効なのにという話を飲みながらした。ネット販売解禁になれば、爆発的に売れる。株でも買っておこうか・・・
現在の法規制では、医師の目の前で服用が義務づけられていて価格も1万5千円もするそうだ。
酒場ではここで倫理的な問題が云々と始まったが、要するに女性自身の自己決定権の範疇で、事後的にも望まない妊娠はおできのようなものだ。勝手な倫理観で女性を抑圧して体を痛めつけるような手術を強要するのは間違っている。さっさと解禁して儲けよう。

ところが、数年まえ、私は全く真逆の主張をしていた。
生まれないほうが幸せな子供なんて存在しない。全ての子供はこの世の光りの中で祝福されるに値するのだ。親の都合で子供の幸福を計ってはいけない。社会は未来の子供たちのために、ようこそ光りの国へ、生まれて来ておめでとうと言ってあげらるようにしなくてはならないのだ、と。
そのころ『ひかりのまち』という映画を見ていたからかもしれない。


どちらも私の考えてあり、矛盾しているとは思わない。出産は女の問題だが、ニキビのようにつぶされた子供の幸福は成就されないままどこかへ宙づりになる。生まれなかった人生は消えることもない、無に帰ることもできない。そう思い至って今、戦慄したよ。



神々と男たち


野に咲く花は光りを求めて歩き回ったりしない。
神は私たちがそこに在るがままで命を授けてくださる。
というわけで、全員残ることに。
 1996年にアルジェリアで起きた修道士の虐殺事件を題材にした映画。
暴力に屈せず、愛と歌の力で立ち向かい、イスラムとキリストの友愛を説く感動の映画です。この人達の存在が文明の衝突を乗り越える導きの光りです。

歌の力で武装ヘリコプターを追い払う。
感動場面、デカルチャーである。
改めて考えると、イスラムもキリスト教も同じ神を信仰しているので、一神教という点では矛盾無く共存可能。仏教徒のほうがやばいが、仏教徒を無神論者とは呼ばないので、宗教上の対立はそもそも神の問題ではないと分かる。
過激派が宗教を隠れ蓑にテロを正当化できなくなる時代が必ずくる。


復刻グーテンベルグ聖書ゴールドリーフ

銀座の教文館で、グーテンベルク特集。
復刻の聖書リーフを販売している。金箔押しの豪華版が5万円。現存するグーテンベルグ印刷機で作成したものだそうだ。
買うならヨブ記だな〜と眺めた。ちなみに本家のグーテンベルグ博物館でもネット販売していて、そこでは195ユーロ。日本に送ってくれるのかは分からん。
なお、教文館では、売り上げの一部を博物館に寄付するとのこと。
グーテンベルグ博物館 オンラインショップ
job で検索できます。

初めて印刷機を使ったときの驚きはどんなだったろう?
それにしてもこの聖書印刷の気合いの入れ具合には感嘆する。

ガリ版刷りからゼロックスに移行したのも第二のグーテンベルグ革命と言える。ここで印刷技術のコモディティ化が高価なものの複製から、筆写の手間を省く利便性の追求へと質を転換した。
そして今日、ホームページやブログ、SNSによって、読むから書くへと意識が移行している。読書体験はSNSとシームレスにつながり、そこでのコミュニケーション、書くことの一部になる。

JST複写サービスのクレジットカード決済の方法が分からない

請求書が来て、どうやらカード決済できていないことが分かった。調べてみたが結局よく分からんので、次回複写をもらうとき確認することにして、振込で済ませた。
5pのコピーで1027円。ネットで検索して、申し込むと郵送してくれる。大変便利だが高価。電子化してアプリで販売できるようにしたほうが費用の使い方として正しいと思う。
JST文献情報提供サービス

バンドデシネ 闇の国々

バンドデシネはいくつか試してみたが、面白く読めたのはこのシリーズ。これは文字も多くなく読み易い。
カフカっぽいユーモアがベースにある。読後、こんなお話を自分は書きたかった。そう思ったひとも多いのではなかろうか。誰もが見る夢を形にしたような雰囲気がある。

ただし、マンガ本編以外は読み飛ばした。緻密な作品世界を構築しているが、そうことに自分は興味がないと分かった。

大きな本で、置き場所に困ったので、3巻ともすぐ古本屋に売った。買い取り価格は十分の一くらい。
第4巻もでるそうで、楽しみだ。

2013年7月7日日曜日

見ました コンプライアンス

これは見続けるのがつらかった。
怒りで血圧が上がります。
電話一本、警官を名乗る男の指図でファーストフードの店長が従業員のパンツを脱がしてしまいます。
観客の中にはこんなことあり得ないと思ったひともいるようですが、ここまで極端ではなくても似たようなことは日常あると思います。
この映画では警察や会社の偉いひとはあくまで無謬の正義の味方で、観客に安心感を与えていますが、実際には、警察の犯罪、司法や立法府の怠慢でひとの尊厳が踏みにじられることもあり得るわけです。そしてそのとき守ってくれるひとはだれもいません。
正義を嵩に見知らぬ他人を裁くことが大好きな人達をみれば、社会的にオーソライズされた犯罪に見えない行為こそ、私たちが意識すべきことだと思います。
私の好きな道徳的に責めるプレイを扱った映画の典型ですが、そのまんまでストレート過ぎ、罪悪感が残りました。

本棚スピーカーは床に置かない

部屋が狭くてスピーカーをきちんとセッティングできない、ついては小型のスピーカーを検討したいとお店に相談したところ・・・
小型スピーカーはスタンド使用前提。せめて机か本棚に置きなさいとアドバイス頂きました。
小型だから場所をとらないと考えるのは間違いだそうです。

というわけで、取りあえず今あるコンパクト7を床ポン置きからデスクトップに変更しました。するとどうでしょう、これだけで低音のふくらみが改善されスッキリ見通しよくなりました。



2013年7月6日土曜日

DAC ポチりました

先日オーディオショップに遊びに行ったら、CDプレイヤーは今のうちに買っておかないと、あとで手に入らなくなりますよとアドバイスされました。
それからつらつら、47labの一体型か、ソウルノートのトランスポートでも買っておこうか、そう思っていた矢先のこと。
ct1.0を使う仮定ででDACを物色していたところ、アマゾン中古で10万円のDA974を発見。新品なら80万円、神の声と勘違いしてクリック決済してしまいました。
Lavry のDA924 は一般的なデルタシグマ型ではなく、抵抗器を使ったマルチビット型。
かなり設計の古い機種で、すでに後継機DA2002が出ていますがそれもRCA出力が強化されたくらいの変更のようです。

アマゾンから注文キャンセルの連絡ありました。在庫切れだそうです。仕方ないですね。

2013年7月3日水曜日

映画館に行こう 『コンプライアンス』



シネマカリテに行きます。今週の土曜日まで?

上映中だよ スプリングブレイカー



映画館に行ったら、ハーモニーコリンの映画が上映中。時間が合わず見られなかったが、配給会社は宣伝が下手過ぎないか?

見ました 『華麗なるギャツビー』



フィツジェラルドは読んだことが無いのですが、お話としては『モンテクリスト伯』だなと思いました。
映像は書き割り的で少々退屈。テンポよくまとめてますが、なんとなく平板な感じもします。
振り帰って考えると本当はすごい話なんですが、分かりにくかったかも。

2013年7月2日火曜日

イントロが有名な洋楽の何か 「エヴォリューション No.9」


エヴォリューション No.9


この曲のギターイントロの、「おえおえおっつおおお」て何の曲だったか気になる。

わたしはかもめ 悪の華(8)

悪の華の第8巻。名作です。
死んだ人生を生きる、と7巻で感傷に浸っていたら、ぐさっと刺されました。
「どうして仲村さんのこと知らないの。」
「ずっと逃げて来たんだね。」
「自分の慰めに彼女を使って、面倒になったらまた捨てるんでしょ。」
「そうやってあのこ不幸にするんだ。卑怯だね。」
「そうだよね、ひとってそんなもんだよね。でも、がっかりした。」
(すべて記憶で書いております。)

チェーホフのかもめで、ニーナがコースチャの部屋で再会したシーンを思い出します。佐伯さんを見て、初めてニーナの負った傷の深さ、つらさ切なさと、でもそれを越えようとする力強さを実感できたように思いました。
絵も描き分けが巧みで、内面を正確に伝えています。他の作品ではそれほど絵がうまいとは思っていませんでしたが、この作品では台詞と同じくらい絵から語るものがあります。

2013年7月1日月曜日

羽田空港の美術展

【出品リスト】
1.唐物尻膨茶入 玉堂手
2.唐物尻膨茶入 銘 下草
3.唐物大海茶入 銘 柏原
4.南京染付茶入(青花共蓋小壺)
5.瀬戸丸壺茶入
6.瀬戸大海茶入 銘 白鼠
7.瀬戸肩衝茶入 銘 ふか草
8.瀬戸耳付茶入 銘 杜若
9.瀬戸肩衝茶入 銘 揚顔
10.瀬戸肩衝茶入 銘 広沢
11.高取茶入 銘 如笑
12.瀬戸肩衝茶入 銘 花さくら
13.瀬戸茶入 銘 初風
14.瀬戸(乄切)茶入 銘 乄切
15.瀬戸(芋子)茶入 銘 白いと
16.瀬戸肩衝茶入 銘 しののめ[前期展示]
17.瀬戸肩衝茶入 銘 浪華[前期展示]
18.高取茶入 銘 青江[後期展示]
19.瀬戸茶入 銘 山桜[後期展示]

羽田空港の3階。入場無料です。リストの1〜4の古い唐物がよいです。尻が膨れるとかいて「しもふくら」というらしい。江戸時代のものと比べるとかなり小振り、端整で美しいです。