開始直後睡魔と戦いもうろうとしていたことを差し引いても、観客を選ぶ分かりづらい映画だと思う。
まず彼がなぜこの映画を撮ったのかわかりづらい。そしてさらに何故この映画をひとに見せようと思ったのかわかりづらい。
取り柄の映像は手堅く外連味のない上品とも、見所がないとも言えるもの。
気違い二人の共依存とそこからの解放を通じてひとの成熟をラスト数分で描いているが、そもそも主人公ふたりが度外れた気違いなので共感しづらい。
ひとつ思ったのは、仏教徒とクリスチャンとで前世の受け止め方が違うのかな、ということ。仏教徒にとって前世と現世ではそれぞれ人間関係、環境にあるという点であくまで断絶したもの。しかしこの映画では前世はあくまでもうひとつの人生で、個人の人格において現世とパラレルに生きられる世界として捉えられている。
社会の網目として自己を捉える東洋思想と個人の人格を中心に置く西洋思想の対比、といい加減にまとめてもいいでしょうか。
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