いつ購入したのか全く記憶に無いが、書棚を整理するために頑張って読んだ。
まえがきでの断食芸人の読解ゲームを行うという振りに期待が高まった。
ところが肝心の読解ゲームの段で、本作品に全く取り組まず、幽霊をあつかった他の短編と日本の私小説とを対比させておしまし。作家の個性を論じることと読解ゲーム(作品の別の読みの可能性を提示すること)を意図的に混濁させているように思う。
まあ、あらゆる読解は常にひとつの可能性でしかないという意味でゲームと言ってみただけなのかもしれない。
もし著者が、賢しらの罠に落ちるなどと謙遜せず、作品に即していくつかの読みの可能性を提示してくれたなら十分興味深いものになっただろう。
みすず書房の理想の教室というシリーズの1冊だが、多様な読みの可能性というものについて、そもそも私はいったい何を期待していたのかだろうか、と改めて考えさせられた。だまされた私が悪い、そんな気持ちにさせられる一冊。まさに勉強になりましたという次第だ。
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