2013年9月8日日曜日

MSB AnalogDAC と伊勢海老オーディオ

伊勢海老オーディオとは、2000円の煮魚定食に6000円の伊勢海老鬼瓦焼をつけたが価格アンバラスな上にイマイチ美味しくなかったという一点豪華主義を戒める故事である。
というわけでLHH300Rの後継として何故かMSBのエントリーモデルAnalogDACを導入した感想を。なお、お店のひとには上級機での自宅試聴を勧められましたが断っていました。もし上級機で音が良くなければ、スピーカーを買い替えることになるし、音が良ければ結局そちらの方が欲しくて欲しくてたまらなくなるに違いなかったからです。それは予算的に大変つらいことだったのでどうしても避けたかった。というわけでお店でその上級機を試聴して、ヤマカンで導入を決定したのでした。ラベリーのDACを買い損ねてからやはり趣味で買うならマルチビットDACだよな、という想いが先行していました。

というわけでとりあえずLHH300Rをトランスポートに使用。持ち合わせの安いTOSLINKケーブルで接続。最新DACの音への期待に胸を膨らませる一聴、その音のたたずまい、雰囲気はしかしこれまでとほとんど変わらない。これがフィリップススイングアームトランスポートの支配力なのか?と一瞬疑ったがあとでUSBで聞いても同じ。これにはまずがっかりした。

もちろん私は300Rが気に入っているしその音に不満はない。しかしウン十万円もする最新のDACと15年以上も前の趣味のオーディオ入門機とが音の雰囲気はほとんど同じとは何事か。もっとこう、音場がふわーと広がって、音がきらびやかに輝くような、べつにそんなもの好みではないが致し方ない時代と機器のグレードの違いというものがあってしかるべきではないか。まあ漠然とそんなことを期待していたようである、私は。

よく聞けば埋もれていた声が明瞭に聞き取れ、舞台裏で警備のバイトをしながらひっそりと聞いていたのが、1階中央後方S席のチケットを買って聞くまでに至ったくらいの差がある。これこそ15年の技術の進歩とウン十万円のお布施の成果である・・・しかし。
まさかCDプレイヤーで音は変わらない説は本当だったのか?別にホールのどこの席でも音楽は鑑賞できる。演奏者が見えづらかったりすることはあっても、音が全然変わってしまう席なんてものはない。CDプレイヤーの差なんて、S席と舞台裏の警備の差程度、成金やなんとか押しのファンの自己満足と同程度のものでしかなかったのだろうか。いやいやそんなはずはない、確かにマランツのネットワークプレイヤーNA7004はひどい音だったじゃないか、売るとき聞き直したら結構まともだったような気もするが、とにかくあの時はLHH300Rが一番だったはず。そうだオーディオにはヒエラルキーがあるんだよ。そんな問答が頭の中を渦巻きました。

平静になると、これはこれで悪いことは何もなく、おそらくスピーカーのハーベスHLコンパクト7初代と47研究所ゲインカード(25W)の限界、というかこういう音なんだろうな、よかったよかったこれでいいんだと気を取り直しました。私の20年間のオーディオ人生を全肯定です。何も悪くない、これで悪くない、どこも悪くない。

というわけで、やっぱりスピーカーを換えたいかな、と思うようになりました。

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