井桁の古武術家、甲野善紀氏の対談本。
井桁本から20年以上経過して、ちょっとずつ彼の体術が広まり成果を上げているらしい。
それは楽しみなことなのだけど、この対談は少々軽率な印象。
教育論とか、ビジネス論、芸術論、ガンダムとか話題が飛躍するのだけれど、とにかく思い込みだけで語っている。
例えばp162、「トレーニングしても芸術は生み出されない」の章。
話の本筋は実際には役に立たないトレーニングをマゾヒスティックに行うことの弊害を論じているところなので、そこだけ汲み取ればよいだけのことなのですが、ただそれだけのために、優れた芸術作品を生み出すのは技術ではなく感性、修練ではなく衝動と、非常に俗な芸術観を披露してくれている。
一つの分野を極めれた人は他の多くのことについても優れた見識を得ているという幻想を木っ端微塵に吹き飛ばす良書としても推薦。
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