2015年5月31日日曜日

エコノミスト 2015 6/15号 世界史を動かす聖書と金利

本来利息を取ることを禁じているキリスト教社会で、どのようにして金利が受容されてきたのかの解説、マイナス金利の効用と歴史のあたりが面白かった。

また法人概念がキリスト教社会では三位一体論の錬成の中で受け入れらる下地が作られたのに対して、イスラム社会ではこれに相当するものがなく法人概念に否定的であったために資本主義が成立しなかったという指摘が刺激的だった。
三位一体論が、個人と法人という一見無関係な2つの概念の共通のゆりかごだったとは。20年前に気付いていたら、おれの人生変わったかも。

しかしイスラム教が神のみを永遠とする時間感覚が資本主義発展の足かせになったという解説にはかなり無理があると思う。一瞬一瞬が神の創造であるという発想はイスラム哲学の典型ですが、デカルトやイギリス経験論でも同じ論考があるし、時間論というより同一性の問題と捉えると、瞬間の世界創造の連鎖の中で同一性が保たれているわけだから。

異色だったのは、「マイナス金利の必然」(日本大学水野和夫教授)で、ゼロ金利=ゼロ成長=豊かさの飽和したユートピア→社会貢献社会を目指せ、マイナス金利は国民から時間を巻き上げる国家の収奪システムだ、という論の建て付け。よく見かける主張だが、今回の特集でこれがかなり特殊な世界観だと分かる。まあミヒャエルエンデなんかはこんな発想なんですが。



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