2014年7月26日土曜日

扉をたたく人

The visitorの邦題を考えるにあたって、扉をたたくが良いか、扉を押すが良いか悩んだかどうかは知らない。扉を押す、よりは扉を開ける、ひらく、のほうがこなれているような気もする。夏の扉をあけて、という歌もあった。
で、この「扉をたたく人」という映画のあと、何かもやもやして何事か言わなければ、と立ち止まるが、何も言えない。そんなときに自分もまた主人公と同様忙しい振りをして空っぽの人生を送って来た老人なんだと、いやな自画像を突きつけられる。
法の前で愛が無力なのは、より多くの法の庇護を求めるような仕方でしか生きてこなかったから。自分の世界を巨大な収容所にして、自らをその鎖につないで安堵し、友人を助けることもできないと憤る。俺は何て無力、その叫びこそ欺瞞、それも分かっているからつらい。


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