イプセンは読んだことが無く、テレビで人形の家のあらすじ紹介とエスターカーンと言う映画の劇中劇でヘッダガブラのラストシーンを見たことがあるだけ。
というわけで興味深く見てきました。
ストーリーは、出戻りニートが幽霊を見て発狂する、と言う感じ。その幽霊は観客には見えず、ネジのひねりを連想させる作りです。
ざっくりメモると
1.出戻りニートは母親に教え込まれた早世した理想の父像と自分自身とのギャップに悩んでいる。優生学にハマった医者からはお前の父親はかなりのろくでなしのはずと指摘され、猛烈に反論したことがある。
2.立派なはずの父親は実務的には無能で、家業の経営は奥さんが仕切っていた。ある日その旦那と幼い頃から家族のように養ってきた若い使用人との浮気の現場を目撃し奥さんは家出をしたことがある。
3.ショックのあまり奥さんは神父の家に駆け込み別れたいと相談するが、説得されて帰宅。現在に至る。このとき出戻りニートを身籠っている印象だがお互いに認めない。
4.出戻りニートは幼なじみの若い使用人と結婚するつもりだったが、若い使用人は新天地を求めて家を出る。おしまい。
というわけで個人のアイデンティティの崩壊をスリリングに描く傑作だったかもしれない。愛知県芸術劇場にて。
なおあまりこういう芝居を見慣れていないお客さんからは、なんで倒れている人がしゃべるんだ?などと全体的に疑問が多かったようです。(残念ながら私にはその倒れている場面の記憶がない。)
初めて見たイプセンでしたが、サスペンス仕立てで深いテーマを提示できる可能性を感じました。
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